ウイルスの歴史【1980s】パンドラの箱が開いた日

記事監修
(株)ライトコード代表取締役 金城直樹
元フリーランスエンジニア。「自分で作ったものを自分で触れないのは物足りない」と考え、BtoC向けのWebアプリ・モバイルアプリ開発を専門とした(株)ライトコードを2011年に創業。
「好きを仕事にするエンジニア集団」を掲げ、現在、50人以上のエンジニアを束ねる。会社経営の傍ら、今だに第一線で活躍するエンジニアでもある。開発のことなら何でもござれな「何でも屋」。趣味は釣り。

記事を3行で解説

➀1980年代、ネット以前のウイルスはフロッピーディスクを人が運ぶ「スニーカーネット」によって物理的に感染を広げていた。

➁高校生の詩が表示されるだけの悪戯や、違法コピーへの制裁など、開発者の動機は人間臭いものが多かったが次第に技術が高度化。

➂「モリス・ワーム」による大規模被害を機に世界はサイバー空間の脆弱性を認識し、セキュリティ対策(CERT)が本格化した。


目次

1980年代、「フロッピーディスク」が生んだパンデミック

80年代に入ると、Apple IIなどの「パーソナルコンピュータ」がついに登場。

ここでの主役はフロッピーディスクです。

ネットがない時代、ウイルスは人の手で物理的に運ばれていました。

これを「スニーカーネット(靴で歩いて運ぶネットワーク)」と呼びます。

まだ、のんびりした時代に流行した忘れられない奴らです。

1970年代のウイルスのお話はこちら

Elk Cloner(エルク・クローナ) – 1982年

当時は最新PCである「Apple II」をターゲットにした最古の野生ウイルス

作ったのはなんと15歳の高校生!

しかし、感染すると50回ごとの起動時に、彼が書いた「詩」が表示されるだけというかわいいものでした。

エルク・クローナー:個性を持つプログラム
お前のディスクに付着する
お前のチップに浸透する
そう、それはクローナーだ!
接着剤のようにくっつく
お前のRAMも変更する
クローナーを送り込め!

Elk Clonerの凄さ

15歳のリチャードが作ったこのウイルス、何が技術的に凄かったかというと、「ブートセクター感染型」だったことです。

  • 感染したフロッピーを入れる。
  • PCを起動(ブート)する。
  • OSが立ち上がるにウイルスがメモリに常駐する。
  • その後に挿入された「フロッピー」に次々と感染する。

ネットワークがなくても、「人から人へディスクを手渡しする」ことでウイルスが広がる。

これ、まさに現実のインフルエンザと同じ伝播経路といえますよね。

Stoned(ストーンド) – 1987年

「PCがハイになっちゃった?」

ニュージーランドの大学生が作ったとされる、当時、世界で最も感染したと言われるウイルス。

感染したPCを起動すると、8分の1の確率で画面にこう表示されます。

Your PC is now Stoned! (お前のPCは今、ラリってるぜ!)

そして、続けて表示されるメッセージがこちら。

LEAGALIZE MARIJUANA (マリファナを合法化せよ)

カトウカトウ
これは、ブートセクターに居座るだけで、データを破壊する意図はなかったの?
にゃん八にゃん八
そうだ!
政治的なメッセージを主張するためにウイルスが使われた初期の例ともいえるな
カトウカトウ
時代的にも、ちょっとヒッピーなウイルスだったのね

Cascade(カスケード) – 1987年

「文字が…落ちてくる!?」

これは見た目のインパクトが絶大でした。

感染すると、ある日突然、画面上の文字が「パラパラと重力に従って下に落ちていく」のです。

にゃん八にゃん八
最終的に、画面の下に文字の残骸が積み上がってしまうのだ
カトウカトウ
これはまた、迷惑なウイルスですね
にゃん八にゃん八
見た目はふざけてる、技術的には「暗号化」を取り入れた初のウイルスとして歴史に名を残しているのだ
カトウカトウ
どういうこと?
にゃん八にゃん八
ウイルス対策ソフトに検知されないように、自分のコードを毎回暗号化して形を変えたのだ。
今のウイルスの「ステルス技術」のご先祖様だな

Ping Pong(ピンポン) – 1988年

イタリアのトリノ工科大学で発見されました。

感染してしばらくすると、画面上を「小さなボール(点)」が跳ね回り始めます。

文字に当たると、ちゃんと跳ね返るという物理演算付き。

仕事にならないウイルス No.1」でした(笑)

カトウカトウ
データを消したりはしないのね(笑)
にゃん八にゃん八
しないが、画面が見づらくて仕事にならなかったのだ(笑)
カトウカトウ
「あーっ、またボールが出てきた…!!」
とフロッピーを抜き差ししてる光景が目に浮かびます

Jerusalem(エルサレム) – 1987年

別名、13日の金曜日

ここまでは「愉快犯」が多かったですが、こいつは凶悪でした。

イスラエルで発見されたこのウイルスは、PCの中に潜伏し、じっとその時を待ちます。

発動条件は「 13日の金曜日」。なんと、 その日に実行されたすべてのプログラムファイルを削除してしまいます。

カトウカトウ
これは、最悪なウイルスですね…
にゃん八にゃん八
1988年5月13日(金)には、世界中の企業や大学でパニックが起きのだ…!
特定の日に爆発するという「ロジックボム(論理爆弾)」の恐怖を世界に植え付けたのだ!

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史上初の「ステルス機能」搭載ウイルス

1986年。IBM PC互換機で猛威を振るった「Brain」。

パキスタンのアルヴィ兄弟が作った動機は、自社ソフトの違法コピーへの制裁でしたが、技術的には超一流でした。

彼らは自分たちで開発した「心臓モニタリング用のソフト」などを販売していました。

しかし、当時のパキスタンでは、ソフトの違法コピーが当たり前。というか、世界中で当たり前でした。

「俺たちが苦労して作ったソフトが、タダで出回ってる…許せん!」

自分たちの作ったソフトが違法コピーされるのに腹を立て、彼らは考えました。

「違法コピーされたフロッピーを使ったら、PCがウイルスに感染するようにしてやろう。警告文を出して、俺たちに電話させよう」

皮肉なことに、これが世界中に広まってしまったのです…!

Brainの「ステルス」技術

にゃん八にゃん八
Brainは、当時の技術レベルからするとオーパーツ並みに高度だったのだ
カトウカトウ
どんなウイルスだったの?
にゃん八にゃん八
もしユーザーや管理者が「感染したブートセクターの中身を見たい」と思ってデータを読み込もうとすると、Brainはそれを検知して、「感染していない正常なデータ」を偽装して表示させたのだ
カトウカトウ
見てるはずなのに、見えないってこと?
にゃん八にゃん八
そうだ。
「見つからないように隠れる」という概念を実装したのがスゴイ!
カトウカトウ
これが、サイバーセキュリティ界を悩ませる「ステルスウイルス」の元祖ってわけね!
ちなみに、「電話させよう」って書いてあるけどどういうこと?
にゃん八にゃん八
コードの中に自分たちの店の住所と電話番号を残していて「文句があるなら掛けてこい」のスタイルだったのだ。
だが、実際に世界中から苦情の電話が鳴り止まず大変だったそうだ(笑)

世界が止まった日「モリス・ワーム」

1988年11月2日。80年代の締めくくりにして、最大の事件

これを語らずして、ウイルスの歴史は語れません。

コーネル大学の大学院生、ロバート・タパン・モリスが放ったワームです。

Morris Worm(モリス・ワーム)

彼は「インターネットの規模(接続されているPCの台数)を測りたい」という、またしても知的好奇心で作りました。

しかし、設計ミスがありました。

  • すでに感染していたらコピーしない
  • でも14%の確率で、感染してても無理やりコピーしちゃえ

この「14%」が命取りになりました。

コンピュータは一瞬で何千回も処理をするので、あっという間に多重感染を起こし、ネットワークが負荷でパンク。

当時のコンピュータは約6万台で10%にあたる6,000台がダウンしました。

NASAやMITも被害にあうほどでした。

にゃん八にゃん八
プログラムの設計ミスにより、ワームは制御不能の猛スピードで増殖した。
カトウカトウ
これは世界初の「DDoS攻撃とも言えるわね
にゃん八にゃん八
そうだな!
モリスは「コンピュータ詐欺および不正使用法」で有罪判決を受けた最初の人物となった
カトウカトウ
NASAやMITも被害にあったくらいだから当然ね
にゃん八にゃん八
だだし、歴史的意義もあった。
これで、「CERT」が作られるようになったんだ
カトウカトウ
CERTって何?
にゃん八にゃん八
コンピューターへの不正アクセスや脆弱性などのコンピュータセキュリティインシデントに対応する活動を行う組織だ。
ちなみに、モリスは、後にMITの教授になったぞ!
カトウカトウ
天才じゃん!

「ウイルス」という日常の脅威

「できるかな?(好奇心)」
「これ面白いだろ?(いたずら)」
「コピーすんな!(権利主張)」

70〜80年代は、ある種の”人間臭い”動機で技術が進化していった時代でした。

しかし、モリス・ワームの事件によって、世界は「サイバー空間は、現実世界と同じくらい脆くて危険だ」という事実に気づいてしまったのです。

モリスワーム(1988年)が「自己増殖するプログラム」の脅威を示した一方、90年代はコンピュータウイルスが個人ユーザーを襲い始めます

初期の「Brain」や「Jerusalem」を経て、1999年、世界はさらなるウイルスの恐怖を味わいます。

そのウイルスは、ハッキングが「特定のシステム」を狙うものから、「不特定多数の一般ユーザー」を巻き込むパンデミックへと変貌した瞬間でした。

90年代は、いよいよ“悪意”が牙をむき始めるのです…!

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カトウカトウ
ちょ、ちょっと待ってください!
一般的なエージェントのマージンが25%ってことは…
もし私が月単価80万円の案件をこなしても、毎月20万円も手数料で引かれてるってことですか!?
にゃん八にゃん八
ふふふ…それも本人には知らせずにな…
報酬の内訳を隠すブラックボックス、まさに旧時代のレガシーシステムだな
カトウカトウ
でも、「ITANKEN」なら上限10万円固定ってことは…
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にゃん八にゃん八
そうだ、年間で120万円もアップする計算だ!
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