開業届なしで独り立ち?フリーランスになって開業届を出していないとこうなる…!

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記事監修
(株)ライトコード代表取締役 金城直樹
元フリーランスエンジニア。「自分で作ったものを自分で触れないのは物足りない」と考え、BtoC向けのWebアプリ・モバイルアプリ開発を専門とした(株)ライトコードを2011年に創業。
「好きを仕事にするエンジニア集団」を掲げ、現在、50人以上のエンジニアを束ねる。会社経営の傍ら、今だに第一線で活躍するエンジニアでもある。開発のことなら何でもござれな「何でも屋」。趣味は釣り。

記事を3行でくるっ!と解説

①開業届は2種類ある
②開業届を提出しない場合のデメリットについて理解できる
③開業届を提出すると逆にデメリットになってしまう方も一部いる

フリーランスや副業が当たり前になりつつある昨今、「開業」という言葉をあちこちで見かけるようになりました。

開業するには、税務署に開業届を提出する必要があります。

「そもそも開業届ってなに?」

正直なところ、そう思っている方もいらっしゃるのではないでしょうか?

開業届は所得税法において「事業開始から1ヶ月以内に提出しなければならない」と定められています。

「フリーランスエンジニアとして独立する際は、開業届を必ず提出しなければならないの…?」

「もし提出しなかったら違法になるの…⁉」

と、不安に思われる方もいるかもしれません。

この記事では、「開業届」について斬り込んでいきたいと思います!

「開業届」の疑問をくるっ!と解決します!

目次

そもそも開業届って何だ?

開業届とは、事業を開始したときに税務署に届け出る書類のことです。

ちなみに、個人事業主には、サラリーマンでもなることは可能です。副業として、サラリーマンをやりながら個人事業主になる方は沢山いらっしゃいます。

個人事業主が提出する開業届は、税務署に提出する「個人事業の開業・廃業等届出書」と、都道府県税事務所に提出する「個人事業税の事業開始等申告書」の2種類があります。

開業届は所得税法において「事業開始から1ヶ月以内に提出しなければならない」と定められています。

しかし、ご安心ください。

実は開業届には提出の義務があるものの、提出しなかったからといって罰則が設けられているわけではありません。

つまり、実質的には「出しても出さなくてもいいもの」ではあります。とはいえ、開業届を出さずにいると、経営上のデメリットもあります。

開業届を提出しないと経営上のデメリットとは?

開業届を提出しないまま事業を開始すると、次のようなデメリットがあります。

①屋号名義で口座開設ができない
②補助金や助成金の申請ができない
③タイミングによっては小規模企業共済に加入できない

それぞれ詳しく見ていきましょう!

①屋号での口座開設ができない

屋号(やごう)とは、自分の会社やお店の名前です。

開業届の1つである「個人事業の開業・廃業等届出書」には、屋号を記入する欄があります。

開業届で屋号を申請することで、晴れて屋号が公的な名称と認められます。

そうすることで銀行口座を屋号名義で開設できるようになります。

クレジットカードも同様に、屋号名義のクレジットカードを作れます。

言い方を変えれば、開業届で屋号を申請していないと、屋号名義での口座やクレジットカードを持てないということです。

特に顧客との取引で使用する口座が屋号名義だと、顧客の信頼感が増します。信頼感を持って事業を進めたいなら、開業届を提出して屋号名義の口座を持っておくことをオススメします。

②補助金や助成金の申請ができない

職種や自治体などにより異なりますが、事業を開始するときに補助金や助成金で資金調達できるケースがあります。

ただし、補助金や助成金の申請には開業届が必要な場合がほとんど。

そのため、開業届を出していないと補助金や助成金が利用できない可能性があります。

補助金や助成金を使いたいと考えているのなら、開業届を提出しておきましょう!

③小規模企業共済に加入できないことも

サラリーマンには退職金制度がある会社がほとんどですが、フリーランスは廃業をしてもそのような制度がありません。

万が一の廃業や老後に備えるためには、積み立て式の小規模企業共済がおすすめです。

小規模企業共済への掛け金はすべて「小規模企業共済等掛金控除」として控除できるため、節税対策としても効果があります。

ただし、小規模企業共済に加入するには、確定申告書の控えが必要になります。

事業を始めたばかりでまだ確定申告を行っていない事業者は、代わりに開業届の控えを提出する必要がある場合が多いです。

小規模企業共済は加入期間が短いと元本割れをしてしまうなど、デメリットもありますのでよく調べた上で検討してくださいね

開業届を提出しないと青色申告ができないって本当?

結論から言うと、開業届を提出していなくても、青色申告は可能です。

青色申告とは
一定の条件を満たしたフリーランスや個人事業主が利用できる申告制度で、所得に対する税金を軽減できるというメリットがあります。
最大65万円の特別控除を受けることができるのは代表的なメリットです。
帳簿の記帳や申告方法に一定のルールがあるものの、節税効果が高い制度として知られています。

「開業届を出さないと青色申告ができない」という情報を見かけることがありますが、実際には開業届と青色申告に直接の関連はないのです。

ですので、青色申告を提出するために開業届の控えなどが必要になることはありません。

ただし、事業を始めたばかりだと取引実績がなく、税務署が青色申告の申請書(所得税の青色申告承認申請書)を受理しない可能性があります。

青色申告の承認申請を税務署が受理するかどうかについて、明確なガイドラインはありません。

基本的には「取引実態があるか否か」。

つまり事業としての実績や信用が十分か不十分かで判断されることが多く、各地域の税務署の裁量によるところが大きいのが現実です。

事業を開始した年から青色申告を希望する場合、事業を開始してから2ヶ月以内に青色申告承認申請書を税務署に提出する必要があります。青色申告の申請をスムーズに進めるためには、開業から1ヶ月以内に開業届を提出しておきましょう。

開業届を提出したことでデメリットはあるの?

基本的には開業届を提出しないことの方がデメリットが多いのですが、開業届を提出することで一部の方にはデメリットになってしまうことがあります。

①失業給付を受け取れなくなる

開業届を出す=失業の状態ではなくなってしまう」ため、たとえ収入がゼロであっても失業給付を受け取ることはできません。

代わりに「再就職手当」を受け取れる可能性がありますので、ハローワークに問い合わせてみてください。

②健康保険の扶養に入れなくなることも

家族の扶養に入っている場合でも、130万円以上の収入を得ると扶養から外れて自身で年金や健康保険料を負担する必要があります。

開業届を提出することに直接の影響がないことが大変ですが、保険組合によっては提出した時点で扶養から外れるケースもあります。

開業届を出す前に、一度確認をしておきましょう!

開業届は提出しておくのがベター

開業届の提出には、屋号名義で銀行口座を開設できたり、クレジットカードを作れたりといったメリットがあります。

しかし、もっとも大きなメリットは「順当な手続きを踏んでいる事業者である」と、税務署から評価してもらいやすくなることかもしれません。

開業届が未提出でも罰則はありませんが、原則として事業開始から1ヶ月以内に提出することが義務付けられています。

ただし、すでに1ヶ月を過ぎている方でも問題なく受理してもらえますので、社会人としてしっかりと義務を果たした上で安心して事業をすすめていきましょう!

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