本記事でわかること
➀案件ガチャの実態:SESにおいて、エンジニア本人が配属先をコントロールできず、スキルアップに繋がらないロースキル案件や長期の自宅待機に陥る。
➁発生の構造的理由:案件決定の主導権がクライアントにあり、企業の利益確保のためにタイミングと即戦力が優先される「多重下請け構造」が背景にある。
➂未経験者のリアル:特に経験が浅い時期は「定型業務」に回されやすい。
➃生存戦略:自己研鑽を怠らず、自社開発・社内SE・フリーランスへの転職を視野に入れた自己防衛が必須である。

「次の案件、何になるかわからない…」
SESとして働くエンジニアなら、誰もが一度は不安を感じたことがあるのではないでしょうか。
「スキルアップを目指して入社したのに、コールセンターに配属された」
「案件が決まらず、1ヶ月以上も自宅待機が続いている」
スキルアップを夢見てIT業界に飛び込んだはずが、Excelのコピペやテレアポ職人になっていた…
SNSやネット掲示板でよく目にする「案件ガチャ」という言葉。
これは単なる都市伝説ではなく、多くのエンジニアが直面しているリアルな現実です。
今回は、そんなSESの案件ガチャの荒波を実際に経験し、そこから這い上がって見事キャリアアップを果たした現役エンジニアのSさんをゲストにお迎えしました。
SESの仕組みから業界の裏事情、そして「自分のキャリアをどう守り抜くか」まで、余すところなくインタビューしていきたいと思います!
人物紹介
👤 ゲスト:Sさん
元SESエンジニア。未経験からIT業界に飛び込むも、過酷な「案件ガチャ」に直面。テレアポ業務や長期の自宅待機などを経験しながらも、独学でスキルを磨き、現在はフルリモートで活躍する凄腕エンジニアに成長。
🎤 インタビュアー:ITANKEN(アイティーアンケン)
エンジニアへの還元を最優先するフリーランス専門エージェント。業界に精通し、エンジニアが搾取されないためのキャリア支援に情熱を燃やしている。
「案件ガチャ」とは何か?

——Sさん、本日はよろしくお願いします!早速ですが、SES業界でまことしやかに囁かれる「案件ガチャ」。ネット上では「運ゲー」「奴隷契約」なんて過激な言葉も飛び交っていますが、実際どうなんですか?
よろしくお願いします。結論から言うと、「案件ガチャ」は都市伝説ではなく、リアルにある話です。無防備な未経験者はほぼ確実に「ハズレ」を引きます。
——「ハズレ」とはどういう意味ですか…?
そもそもSESという働き方は、自社ではなくクライアント先の企業に常駐して技術力を提供する契約モデルです。
本来なら「エンジニアのスキル」と「クライアントの要望」をマッチングさせるはずなんですが、実態は違います。エンジニア本人が案件を自由に選べないという致命的な構造があるんです。
——営業担当者が取ってきた案件に、有無を言わさずアサインされるということですか?
その通りです。これを業界では案件ガチャと呼んでいます。なぜ起こるかというと、主導権が完全に「クライアント」と「自社の営業・利益」にあるからです。
タイミング良く希望の案件が空いていればラッキーですが、そうでない場合は、とりあえず今空いてる案件に行ってこいとなる。結果、開発志望なのにテスターや事務作業に回される悲劇が生まれるわけです…
——なるほど…。自分の意思が介入できないから「ガチャ(ランダム)」なんですね。
はい、当初希望していたモダンなWeb開発の案件なんて夢のまた夢で、蓋を開けてみればExcelのスクショをひたすら貼り付けるだけの単純作業や、ITとは無縁の事務作業にアサインされる。
これが典型的な「ハズレ枠」です。
案件ガチャが発生する3つの理由
| 主導権は常にクライアント | お金を払う側の要件が絶対。エンジニア個人の「成長したい」という希望は二の次、三の次になる。 |
|---|---|
| 本人の選択権の欠如 | 案件は「営業担当の力量」と「クライアントの都合」で決まる。自社に優良案件を引っ張ってくる営業力がなければ、ロースキル案件しか回ってこない。 |
| タイミングという運要素 | 前の案件が終わるタイミングで、たまたま空いていた案件にねじ込まれる。待機(利益を生まない状態)を嫌う会社側の都合が最優先される。 |
【プチブレイク】日本の当たり前はガラパゴス?
地獄の体験談:ITエンジニアなのにテレアポ!? 1ヶ月半の自宅待機!?

——Sさんご自身も、「案件ガチャ」を経験されたと伺っていますが…
ええ、思い出したくもないですが(笑)。未経験向けの充実した研修を1ヶ月受けて、最初は業務システムの運用保守に入れたんです。
そこまでは良かった。問題は半年後、案件変更のタイミングです。営業から満面の笑みで紹介されたのが…コールセンターでのテレアポ業務でした(笑)
——えっ!? プログラミングどころか、ITですらないじゃないですか!
そうなんです。プログラミングはおろか、PCのタイピングすらほとんど必要ない業務でした。当時は「会社の指示だし……」と自分を納得させようとしましたが、ふと我に返って「いや、これITエンジニアの仕事じゃないだろ!」と断りました。
——断った結果、どうなりましたか?
次の配属先が決まらずに自宅待機になりました。 表向きは「自宅で自己学習していてください」なんですが、毎日が不安で押しつぶされそうでした。
約1ヶ月半後、別の運用保守案件に何とか潜り込めましたが、あの時「SESは、自分のキャリアパスを平気で無視してくる」という現実を骨の髄まで理解しましたね。
——ひどい…!もし受けていたら、どうなってたと思いますか?
このようなロースキル案件のループにハマると、数年経っても市場価値が上がらず、スキルのないまま年を取ってしまっていた、ということもザラにある世界です。
もし受けていたら、私のエンジニアとしてのキャリアはそこで終わっていたかもしれません。
——なるほど、会社も利益しか考えていないのは明白ですね…。ちなみに自宅待機中の給与は変化するのでしょうかか?
私の場合は幸い、給与は満額出ましたが、会社によっては休業手当として法律上の最低限である6割しか出ない悪質なケースもあります。
また、空白期間が長引くほど「自分は市場価値がないんじゃないか」という恐怖に襲われます。これも、配属先が見つかりにくい未経験・初心者エンジニアが必ず直面するガチャの待ち時間ですね。
【プチブレイク】待機中の給与は?
なぜ初心者は「ロースキル案件」ばかりアサインされるのか?

——1ヶ月半の空白は、精神的にも参りますよね。なぜ未経験者は、そうしたロースキル案件や待機に追い込まれやすいのでしょうか?
理由はシンプルで、クライアントは「即戦力」しか求めていないからです。
——企業側が即戦力が欲しい気持ちは分かります。でも、そんなに希望とかけ離れたロースキル案件に回されてしまうのでしょうか?
「需要と供給のミスマッチ」と「多重下請け構造」が原因です。クライアント側は高いお金を払ってSESを利用する以上、「即戦力」を求めているんですね。
でも、現場には新人を手取り足取り育てる余裕なんてありません。だから、実務経験が浅いエンジニアは、高度な開発ではなく、誰でもできる(と見なされる)ロースキル案件にしかアサインされないんです。
——なるほど。営業さんの責任もあったりしますか?
営業の力不足も大いにありますよ。経験の浅いエンジニアをクライアントに売り込む際、明確なポートフォリオなどがないと「この子はこれができます!」と強く推せません。
——結果として、提案のハードルが低い単純作業の案件ばかりを拾ってくると?
はい。さらに、日本のIT業界特有のゼネコン的な多重下請け(3次請け、4次請け)の下層にいればいるほど、上流工程(設計や開発)には触れられず、末端の雑務しか降りてこないんです。
【プチブレイク】経験の浅いエンジニアはAIに代替されかけている!?
案件ガチャを破壊せよ! キャリアを守るための3つの生存戦略

——読者が一番知りたいのは「じゃあ、どうすればいいの?」という点だと思います。案件ガチャに振り回されず、キャリアを守るための秘訣を教えてください!この過酷な環境の中で、エンジニアはどうやって自分の身を守り、ステップアップしていけばいいのでしょうか?
答えはシンプルです。「会社に依存するな。自分のキャリアのハンドルは自分で握れ」です。具体的には次の3つアクションです。
①自分のキャリアは「自分」で守る
SES会社はあなたの一生を面倒見てくれません。1年後、3年後に「どういうエンジニアになっていたいか」「いくら稼ぎたいか」を明確にしてください。ノートに書き出し、毎日見返すこと。目標がブレなければ、今が酷い案件だったとしても「未来のためのただの踏み台」だと割り切れます。
「なんか良い案件ないかな」という受け身の姿勢は死を意味します。今後、どんな技術スタックを身につけ、いくら稼ぐエンジニアになりたいのか。それを明確に言語化し、営業担当に論理的にプレゼンしましょう!
➁圧倒的なポートフォリオを作る
案件で得られるスキルだけに頼っていてはダメです。プライベートの時間を使って、自分が進みたい分野の技術を学び、ポートフォリオを作りましょう!未経験やロースキルのループから抜け出す唯一の武器が「成果物」です。
休日の時間を使って、モダンな技術を使ったWebアプリや、実際の業務課題を解決するツールを作るのです!ただのチュートリアルの写経ではなく、「なぜその技術を選んだのか」語れるオリジナルなポートフォリオは、案件面談でも転職でも最強のパスポートになるはずです。
➂「SES以外の世界」を常に意識しておく
SESはあくまで通過点。「自分にはこれしかない」と思い込むのが一番危険です。
1〜3年程度、実務経験を積んだら、自社開発企業、社内SE、そしてフリーランスエンジニアへの道を具体的に調べ始めてください。外の世界を知ることで、心の余裕が全く違ってくるはずです。
| 自社開発企業 | 自社のプロダクトに深くコミットしたい人向け。 |
|---|---|
| 社内SE | 社内システムの改善やDX推進。安定志向の人向け。 |
| フリーランスエンジニア | 常に新しい技術が好き、自分のスキルを直接お金に換えたい、真の自由を求める人向け。 |
運命のガチャを回すのは終わりにして、次のステージへ

——Sさん、熱いお話をありがとうございました!最後に、現在SESでくすぶっている、あるいは案件ガチャに怯えているエンジニアに向けてメッセージをお願いします。
SESの案件ガチャは、確かに理不尽です。思い通りの仕事ができず、涙を飲んだ夜もありました。
しかし、そこで腐らずに「どうすればこの状況を抜け出せるか」を徹底的に考え、手を動かし続けた人間だけが、次のステージに進めます。
——その理不尽な環境下で「どう動くか」で、数年後のあなたの人生は天と地ほど変わるってことですね。
はい、待っていても当たりクジは引けません。自分でスキルを磨き、自分で道を選び取る。そうすれば、必ず「やっててよかった」と思えるエンジニアになれるはずです!
——最後に、今悩んでいるエンジニアに向けてメッセージをお願いします。
SESエンジニアとして働く以上、案件ガチャという理不尽なシステムは避けて通れません。自分の思い通りにいかず、泥水をすするような日々もあるでしょう。
しかし、環境のせいにして思考停止した瞬間に、エンジニアとしての死が確定します。
ガチャのレア度を決めるのは運かもしれませんが、引いたカードをどう使いこなし、次にどんなデッキを組むかを決めるのはあなた自身です!
会社にキャリアを握らせるな。今の仕事がすべてではありません。あなたの市場価値は、あなたが思っているよりもずっと高いかもしれないんです!
——Sさん、熱いお言葉、本当にありがとうございました!Sさん自身、SESでの経験をバネにスキルを磨き、今ではフリーランスエンジニアとして、自分がやりたい案件を自由に選び、高単価で活躍されています。まさに「自分のキャリアを自分で守った」最高の成功例だと思いました!
次のステージへ進む準備はできましたか?
Sさんの実体験、いかがだったでしょうか? SES企業で培った「現場適応力」や「幅広い業務経験」は、実はフリーランスエンジニアとして独立した際に、大きな武器になります。
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